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「教育は何をなすべきか」 お話:広田照幸さん(日本大学教授)
広田さんは講師として2009、2012年に続いて今回が3回目となる。チラシに書いた、今わたしたちが抱える6つの問題<学問の自由、教育を受ける権利、教科書問題、歴史認識、道徳教育、改正公職選挙法選挙権年齢18歳以上>に対して、広田さんは、それぞれが重たいテーマであり、学習会6回分が必要だ。2010年には「学校教育法」を取り上げたので、今回は「教育基本法」から始めて「知性を持った市民をどう育てるか」の観点でこの6つをまとめて考えていく、として話を切り出した。
ヒトの考えを一色に染める教育は憲法違反
憲法23条「学問の自由は、これを保証する」
26条「教育を受ける権利」と「保護する子女に教育を受けさせる義務」
19条「思想及び良心の自由」
21条「集会、結社および言論、出版その他一切の
表現の自由」「検閲の禁止」「通信の秘密の不可侵」
19条や21条の中味を保障するものこそ、公教育である。「道徳の教科化」「政府見解を基準とする教科書検定」、「国公立大学の人文系学部の廃止案」などは、知性を働かさない・物事を狭い視点でしか見ない国民を作る流れの上にあり、19条・21条にとって深刻な問題である。
一昨年12月の「機密保護法」強行採決以来、今年7月の「沖縄の新聞に広告を出させるな…」へと続く、安倍内閣のもとでの憲法への挑戦の流れが改めて認識される。
国民が狭い価値観や社会認識に陥らないために必要なのは、教育によって知性を磨くこと。誰もが賢く、社会に関心を持つための教育が必要な時代になっている。
「平和で民主的な国家及び社会の形成者の育成」
この言葉は教育基本法第1条に「教育の目的」として書かれている。
教育基本法第2条には「学問の自由を尊重しつつ」「自国を愛するとともに他国を尊重」することで⑤の目的を達成すると書かれている。「学問の自由」は大学だけの問題ではないのである。
安倍政権は「愛国」だけを強調して「他国尊重」を無視。(だから慰安婦問題が解決しない)
知性を磨かない教育はたくさんある
知育よりも徳育・体育に重きを置く「反知性主義」の流れが、明治維新以来今日まで続いている。
この流れは明治10年代の元田永孚に始まり、森有礼へ受け継がれ、実利主義・進学主義となる。その結果、帝大合格のみが目的となり、大正時代にはすでに「試験地獄」が生まれた。
反知性主義の克服の道として「勝田守一の学力モデル・認識能力の重視」があるが、難しい。
「教育の市場化」「細かな現場統制」「教員養成の非知性化」が反知性主義を促進している。
知育回復の試みは「ゆとり教育」「生きる力」「学校居場所論」等、失敗の連続となっている。
知育重視の教育を可能とする条件は「教員を知性的存在として処遇する」「教育現場での自律裁量を確保する」「実用主義を見直す(教育目標の優先順位と相互関係の問題)」がある。
教育の戦争責任は「おかみ」の言うことだけを聴く、批判力のない人間をつくったことである。
しかし、今の時代は「悪くなるばかり」ではない
戦争法案廃案!総がかり行動には国会、日比谷公園周辺に12万人々がプラカードを持って集まりました。
世田谷区は核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、 昭和60年8月15日に「平和都市宣言」を行いました。 この趣旨に基づき、平成7年8月に終戦50周年と平和都市宣言10周年を記念し、区立玉川小学校に「せたがや平和資料室」を開設しました。
戦後70年、平和都市宣言から30年の節目の年にあたる本年、平和資 料室を世田谷公園内に移転し、「世田谷区立平和資料館(愛称:せた がや未来の平和館)」として開館します。開館にあたり開館行事を開催いたしますので、ぜひお越しください。
1、開催日 平成27年8月15日(土)
2、会場 平和資料館多目的室(池尻1-5-27区立世田谷公園内)
3、参加方法 当日、直接会場へお越しください。
※混雑状況によっては入場をお断りする場合があります。
4、内容 午前11時30分 開場
正午 黙とう
午後0時5分 関係者挨拶
午後0時30分 テープカット
午後0時40分 展示室オープン
問合せ先 人権・男女共同参画担当課
電話 5432-2260
FAX 5432-3005
住所 世田谷区池尻1-5-27世田谷公園内 プール北側
交通機関 東急世田谷線・田園都市線三軒茶屋駅徒歩18分
東急バス自衛隊中央病院入口下車すぐ
九条の会・まつざわ 憲法学習会 報告
「侵略戦争法作りの解明-“憲法の語り部”となろう-」(その1)
お話:金子勝さん(立正大学名誉教授、九条の会・まつざわ呼びかけ人)
日時:2015年5月16日(土)午前10時~12時 会場:桜上水南地区会館
「安倍内閣」と自民党と公明党は、日本を、戦争しない「『第九条』の国」から「日米安全保障条約(安保)」体制に基づいて、アメリカと共に、世界中で侵略戦争をする「『安保』の国」に改めようとしている。そのために、2015年4月27日、新しい「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を定めた。すると、アメリカは、早速、オスプレイ10機の横田基地配備、オスプレイ17機の日本への売却を決定した。
Ⅰアメリカと日本の戦争の方法
1,1960年6月23日発効の「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」により、日本と在日米軍基地が攻撃を受けたら、アメリカと日本は、共同で戦闘を行う。その地域は「極東」に限定。
2,1996年4月17日成立の「日米安全保障共同宣言-21世紀に向けての同盟」以降は、「周辺事態」が生じたら、日本とアメリカは、自国への攻撃がなくても、共同で戦争する、を加える。地域は、原則「アジア太平洋地域」となる。
3,1997年9月23日作成の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」以降は、①日本と在日米軍基地が攻撃を受けたら、日米は共同で戦闘を行う、且つ、②「周辺事態」がアメリカによって作られると、アメリカが戦闘し、日本は日本列島全体をアメリカの基地にして、「後方支援」(物品・情報・施設等の提供)を行うとなった。
4,2006年6月29日発表の日米共同文書「新世紀の日米同盟」以降は、アメリカの作る「敵」と、アメリカと日本は、共同で、「地球的規模」で戦争するとなった。
5,2015年4月27日作成の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」では、どう変わるのか。(1)平時から緊急事態までの切れ目のない戦争協力体制を構築する。(2)平時から緊急事態までの切れ目のない戦争協力体制を統制するアメリカ主導の組織「同盟調整メカニズム」を設置する。(3)日本に対する武力攻撃が発生した場合、共同で戦闘する。相互に「後方支援」を行う。(4)米国又は第三国に対する攻撃に対処するため、日米両国は、当該武力攻撃への対処行動をとっている他国と適切に協力する。(5)自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険に対処し、日本の存立を全うし、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を実施する。米軍が共に戦争する。相互に後方支援をおこなう。(6)日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを超えた地域の平和及び安全のための国際的な活動に参加する。(7)宇宙空間及びサイバー空間における安全及び安定のために協力する。(8)安全保障及び防衛協力の基盤における協力(武器の共同研究・開発・生産、研究・教育機関の交流の強化など)を行う。
Ⅱ侵略戦争法作りの基本方針(次回に続く)
平和安全法制整備法案(10本の一括改定法案・自衛隊法改定・PKO法改定・周辺事態法改定・船舶検査活動法改定・事態対処法改定・米軍行動関連措置法改定・特定公共施設利用法改定・海上輸送規制法改定・捕虜取り扱い法改定・国家安全保障会議設置法改定)と、国際平和支援法案(海外派兵恒久法案)が、2015年5月15日、国会に提出された。国際平和支援法案は、いつでも、どこでも、自衛隊を海外派遣でき、他国軍を支援できる法案である。党首討論(2015年5月20日)でも話題になったが、安倍首相は先のアジア・太平洋戦争を侵略戦争と認めない。それは、これからやろうとしていることを侵略戦争と認めるわけにはいかないことに通底するのか。(文責・荘司)